安全性の高い手術体制
長期成績のエビデンスに基づきに従い、個々の患者様のその時点での固有の条件に基づき

最善の治療ゴールを目指した最善の集学的治療を行います

小型腫瘍(1.5cm未満)、中型腫瘍(3cm未満)では

1.術直後から顔面神経麻痺なし
2.有効聴力維持、
3.腫瘍を全摘出-ほぼ全摘出(98%以上)を目指します。

大型腫瘍(3cm以上)では、

1.術直後から顔面神経麻痺なしを最優先、
2.腫瘍を95%以上摘出し、再発を極力防ぐ。
3.術前有効聴力が有る場合は、聴力保存を行う。摘出難易度により聴神経を切断せざるをえない場合は、骨伝導型の聴覚再建術を考慮する。
4.結果的に薄皮サイズの腫瘍が顔面神経の上に残存することが有りえるが4-6ヶ月間の回復期間を繰り返した後に(1)若年者の場合(45歳未満)(2)明らかな増大を示した場合(3)術中病理から再増大が予測される場合,超選択的定位放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフ)を考慮致します

即ち、腫瘍サイズに応じて、外科手術が果たす単独の役割は異なりますが、顔面神経機能を最優先して維しつつ、種々の聴覚再生再建術、超選択的定位放射線治療を組み合わせることにより最善の長期治療成績を達成致します。

手術前に行われること
外科手術治療を希望された場合,さまざまな術前検査;血液検査,心電図検査,胸部エックス線検査,さらなる神経放射線学的検査を3日から1週間手術前に余裕を持っておいでいただきます。
神経耳鼻科医師,臨床聴覚士により精密聴力検査,精密顔面神経検査その他の脳神経検査をお受けいただきます。あなたの腫瘍のある側の耳がどちらかを手術直前には,手術時に誤りのないよう皮膚に小さなマーキングする必要があります。外来オフィスで,手術全般にかかわる説明を受け,インフォームドコンセント用紙,その他の輸血,検査,個人情報保護に関する承諾書を記載していただくことになります。その過程で医師はあなたの過去の病歴;アレルギー,内服薬,ビタミン類,出血にまつわる病歴を,麻酔に対しての反応,過去の手術病歴をお聞きします。手術に先立ちご自身の血液をあらかじめ準備する自己血輸血採血に一週間前においでいただくかもしれません。アスピリン,バファリン,ワーファリンなどの消炎鎮痛剤,抗凝固剤,抗血小板剤などは手術前1週間はやめる必要があります。同時に喫煙, 噛みたばこ,アルコールは,術前1週間と術後2週間は出血の合併症防ぐためやめる必要があります。患者さまは,入院後検査を受けになりますが,手術の前日深夜から飲食が禁じられます。静脈点滴のラインが,あなたの腕にとられ, 麻酔科医が麻酔についての効果とリスクについてご説明します。中富とパートナーである神経耳鼻科医師とが,どの手術アプローチが最もあなたに適しているかをお話しします。

手術中の実際

ステップ1;手術前準備
あなたは手術室に通され, 手術台の上に移動されます。麻酔科医が腕に静脈ラインの点滴をはじめ,尿カテーテルを挿入し,吸入麻酔器によりあなたを麻酔導入による睡眠状態に導きます。いったん麻酔導入されると,あなたの体は手術のためにある特定の体位置をとるように動かされ,頭部は手術台にしっかりと固定されるように頭部固定装置によって保持されます。臨床生理検査技師が,あなたの顔;目の周りと口の周り,両方の耳に電極を挿入し,持続的な顔面神経の筋肉の動きと手術中継続的に実際の鼓膜を通しての音が手術中に持続的に脳,脳幹部分で理解されているかどうかの脳波をチェックいたします。

ステップ2;開頭
後頭蓋
耳の後から後頚部にかけて約5から8cmほどの皮膚切開を置いて,頭蓋骨を露出します。つぎにハイスピードドリルを用いて約4センチ×4センチ大の骨片を反転します。小脳は厚い硬膜で守られていてこれをはさみで切開し小脳を露出します。小脳を丁寧に優しく移動させ聴神経,顔面神経そして腫瘍塊を露出します。

経迷路法
耳介後方約3横指のところにC型の約5-6センチほどの皮膚切開を置いて,錐体骨を露出します。次いでハイスピードドリルを用いて錐体骨表面の骨を形成用に採取した後に,内耳構造である三半規管を露出,三半規管をドリルにより摘除したうえで内耳道硬膜の全貌をとらえます。硬膜を切開し腫瘍,前庭神経,聴神経を確認します。顔面神経機能は,手術中に持続的にモニタリングされいかなる侵襲刺激も即座に確認されます。本アプローチは,病気がある側の平衡感覚と聴覚を犠牲にしますが,反対側の内耳器官がこの機能を代償し,1から4か月の後には平衡感覚も安定します。

ステップ3;腫瘍摘出
一度腫瘍が露出されると,術者は腫瘍の発生母地,付着部位あるいは他の脳組織との境界を最初に処理するの原則です。聴神経腫瘍は大きさによって三叉神経,舌咽迷走神経ならびに脳幹やさらには前下小脳動脈に癒着することがあります。非常に繊細で特殊な用途にデザインされた顕微鏡手術用のはさみ,ナイフ,バイポーラ凝固鉗子,超音波吸引装置を用います。まず最初に栄養血管凝固、第二に腫瘍内減圧、第三に周辺神経、脳幹、血管からの剥離の3段階で手術が進行してゆくのです。

※術中持続神経機能モニタリングを駆使した低侵襲手術(顔面神経機能保存について)
Point!その1
脳神経は過度のストレス損傷を、一定時間に一定以上受けてしまうと、痛んだきりもとにもどりません。聴神経を代表とした脳神経は脳幹と頭蓋底を結ぶ唯一の役割を担っているとても重要な神経です。ですから、神経機能の安全な状態を保ちながら手術を行う必要があり、もっともむずかしいことでもあります。患者様の脳神経を最大限にお守りしながら、あらゆる方法を駆使し、低侵襲手術をおこなっております。
聴神経腫瘍では、顔面神経の持続刺激による筋電図モニタリングによって,顔面神経繊維束のいかなる侵襲,損傷も見逃さないこと,神経刺激可能な剥離道具を用いて,手術操作による繊維束そのものの切断,損傷を限りなくゼロに近く予防しています。

    
           
顔面神経持続モニタリング上で、摘出後の筋電図最大反応が、摘出前の最大反応の65%以上で手術を終了できた場合は、直後からほとんど顔面神経麻痺無しであることが実証されました。少なくとも50%以上に維持することで、全症例で6-12ヶ月後には顔面神経麻痺無しを達成できることが分かりました。

頭蓋底部のすべての神経に対して神経機能検査を行い、神経症状を電気生理学的神経検査上の異常値として捉えるという技術において、危険を即座に察知できる様になりました。術中持続神経機能検査をモニタリングとして用いることで手術操作によりこの数値を悪化させないように手術手技を繊細に操作することができるのです。

この持続神経機能モニタリングにより神経組織に対する安全な手術操作、手技が明らかとなり、
結果的に神経機能に対して最もやさしく安全な、低侵襲な手術が可能となりました。

同時に神経に有害な手術操作を瞬時に把握し中断することで、神経ストレスを最小化することも可能となりました。

つまり我々の手術では、術中に治療後の神経機能の状態の予測が可能なのです。術中に術後の状態を的確に把握しつつ手術をオーダーメイド化することで、術直後から、顔面神経麻痺無し、後遺症無しの状態をほとんどの方で達成しております。

※術中持続神経機能モニタリングを駆使した低侵襲手術(有効聴力保存について)
Point!その2
     
聴性脳幹誘発電位持続モニタリングの(ABR)実際の波形

       


        
術前後の聴力検査結果
術前
  
術後
                    
さらに聴力保存の為に、耳から入ったクリック音を脳波でとらえる聴性脳幹誘発電位反応(ABR)と独自の蝸牛神経活動電位反応のモニタリングを駆使し、ABR上のI−V波潜時の術中変動を一定の範囲に保つことで(0.8ms以内)確実な有効聴力の保存(術前、術後でほぼ聴力レベル同じ)が75%以上の方で可能となりました。現在はさらなる安全な手術を行っています。

Point!その3
独自の被膜間腫瘍剥離法

小型中型の聴神経腫瘍では
腫瘍の発生母地が内耳道最深部の上前庭神経または下前庭神経であるため、腫瘍はまだ正常な前庭神経繊維束の上を脳幹側に向かって這うように成長進展していきます。中型腫瘍まではこの成長原理を手術中に実際に確認することが可能です。ここでさらに独自の被膜間腫瘍剥離法にて、脳幹側で発生母地より最も離れたポイントの,必ず残存する前庭神経繊維束と腫瘍組織との境界、この腫瘍組織と正常前庭神経組織との境界から剥離を開始することで,蝸牛神経そのもの,顔面神経そのもの,さらにはこの二つの神経の間を走行する蝸牛の栄養血管を残存結合組織層(偽皮膜とよばれています。)により保護しつつ腫瘍を全摘出することができます。

ただし3センチを超える大型腫瘍で聴神経そのものを腫瘍が浸潤し取り巻いていた場合は,腫瘍切除を効率に行うために聴神経を切断せざるを得ない場合があります。腫瘍と顔面神経との癒着は最大の繊細さと注意をもって行います。いかなる顔面神経繊維束の損傷も直接顔面神経麻痺に結び付きます。特に脳幹部に浮腫を伴っている症例または腫瘍内部に多数ののう胞を伴っている症例では,重要な神経周囲または脳幹部に少量の残存腫瘍残すことが必要な症例があります。

ステップ4;閉頭

腫瘍摘出が終了し,硬膜を一次閉鎖し,ご本人の自己血から作成したフィブリンクルーを塗布し,髄液漏を防ぎます。骨片を元の位置に戻しチタン製のプレートとスクリューで固定します。筋肉と皮膚を縫合し終了します。

Q.術後はどうなるのでしょうか?
A.手術後は,とくに24時間は脳神経外科集中治療室に運ばれます。翌日より状態に応じて一般病床に移ります。術後はこの頭痛,後頚部痛、悪心や嘔吐,ふらつきかんまたは協調運動の乱れを感じることがあります。こうした症状は多くの場合1から3週間で軽快していきます。ふらつきかんや小脳失調が強く感じられる場合には,理学療法や行動療法を行い早期回復を促します。

Q.術後の結果はどうなのでしょうか?
A.聴神経腫瘍と腫瘍の発生母体となった前庭神経を完全にとり切ることにより,術前に見られたアンバランス,顔面機能低下,顔面の知覚異常,閉眼機能、涙腺機能の回復が期待できます。もし手術中に聴神経を切断した場合は聴覚が完全に失われますが、我々は聴覚の再生再建を、術後どのような時期にも可能とするべく,全力で,可能な限り全ての症例で聴神経の保存を試みています。

手術成績は腫瘍のサイズと腫瘍摘出に用いたアプローチ,剥離技術,手術方法の全てに直接相関します。

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