両側性聴神経腫瘍・神経線維腫症2型・7大治療選択肢を知る




両側聴神経腫瘍の7大治療選択枝を知る

両側聴神経腫瘍に対しての臨床的アプローチは七つ存在します。それぞれにメリットとデメリットがあり,どのアプローチを選択するかについては、患者様の年齢、腫瘍の状態,長期成績,予後に対しての希望と展望をすべて熟考する必要があります。

1;聴力保存手術/全摘出
中頭蓋窩法と後頭蓋窩法の二つの手術アプローチを駆使することが可能です。最も重大な問題はどちらのサイドを先に治療するかということです。腫瘍の大きい側を手術するのか,聴力の良い側を手術するのかについてです。原則的により大きく,より聴覚障害が強い側を先に手術することとなります。初回手術で聴力保存が達成された場合,他方のサイドの腫瘍の摘出を4-6カ月間の回復期間をおいて考慮することが可能です。

2;経過観察
聴力が残存する唯一の側に小さな腫瘍があった場合と両側聴神経腫瘍が非常に大きく,一般的な聴力保存手術の限界;2から3センチを超えていた場合には,通常経過観察のアプローチがとられます。3から6カ月ごとの臨床的診察と造影MRIによるフォローアップにより,脳幹圧迫の度合いと水頭症の度合いの変化を追跡することができます。患者様の側としましては、脳幹圧迫や腫瘍増大に関連するどんな症状の気づきについても医師に報告する必要があることを理解せねばなりません。より聴覚障害が進行した場合,他の症状が進行した場合,腫瘍サイズが3センチを超え脳幹圧迫が顕著となった場合,外科手術の適用となります。こうした経過観察の期間は,聴覚リハビリテーションに対しての理解や教育を受ける意味で,カウンセリング,手話や読話を習得する良い機会となり非常に大切な時間を与えてくれます。

3;中頭蓋窩法による内耳道減圧術/腫瘍摘出なし
聴覚障害がやや不安定であったり,緩徐進行性であった場合,この方法が有効なことがあります。この治療戦略のゴールは,蝸牛神経に対しての腫瘍の圧迫を緩めることと、腫瘍摘出に際しては避けることのできない蝸牛神経ならびに蝸牛への血流障害のリスクを避けることにあります。基本的な術式は中頭蓋窩法による腫瘍摘出手術と全く同じです。内耳道上面と内耳孔周囲硬膜を切開解放いたしますが,腫瘍を内減圧したり摘出したりしません。ハウスクリニックでこれまで12症例のNF2症例において良好な聴力保存が最長8年にわたり維持されたことが確認されています。

4;後頭蓋窩法による亜全摘出
顔面神経と蝸牛神経から離れた部分の腫瘍を亜全摘出することで機能温存を図るのがこのアプローチの目的です。蝸牛神経への血流障害や亜全摘出後の再発再増大のリスクが高いことが知られています。
亜全摘出の場合はこの後に超選択的定位放射線治療を組み合わせる必要があります。

5;聴神経を含めた腫瘍全摘出
聴力保存が目的でない場合,治療のゴールは腫瘍の完全摘出と顔面神経機能の維持となります。経迷路法と後頭蓋窩法が適しています。内耳道最深部における顔面神経の同定が直接可能であるという点において経迷路法の方が優れています。蝸牛神経が十分に保存された場合には,人工内耳を用いた聴覚再建手術が可能であり、蝸牛神経が切断された場合には,聴性脳幹インプラントを用いた聴覚再生再建手術が可能です。

6;聴性脳幹インプラント;ABI
両側聴神経腫瘍の場合の聴覚再生再建療法のひとつです。コンピューター技術を駆使した一種の人工臓器技術であります。人工内耳はその代表例で、言葉を電機信号に変え、蝸牛神経を刺激することにより、内耳性聾の患者の聴覚を回復させるもので,すでに前世紀末より輝かしい実績をあげている技術であり、これにより電話の聴取さえ可能となる方が大勢いらっしゃいます。聴性脳幹インプラント(auditory brainstem implant; ABI)は人工内耳の延長技術であり、その意味で純粋にコンピューター技術に分類されます。人工内耳が内耳(蝸牛)に変わって、蝸牛神経(第一次ニューロン)を電気刺激するのに対し、ABIは脳幹にある中継核(蝸牛神経核)を直接刺激して聴覚を回復しようとするものであります。蝸牛神経は脳幹に入って最初に蝸牛神経核で次の神経(第二次ニューロン)に情報を伝えるが、ここを刺激すれば蝸牛神経が損傷していても第二次ニューロンを刺激できる訳です。腫瘍摘出した後にプレート型電極を外側蝸牛神経核そのものの上に正確に貼り付けることで、この電極を通して聴覚情報を電気刺激に変え直接脳幹に伝導する最新治療ですかくして、ABIにより聴覚の回復が得られることが理解できます。蝸牛神経核が第4脳室外側陥凹と呼ばれる脳幹の表面にあり、かつ外科的に接近できる場所であることがこの技術を可能にしている重要なポイントであります。1979年アメリカハウスクリニックで最初のABIが実施され、今日全世界で400例を超えていますが、本邦では、未だ少なく中冨の自身執刀経験例4例を含め、計8例(NF2; 7例、重症髄膜炎後;1例)に行われたにすぎません。

7;定位放射線治療
定位放射線治療は,両側聴神経腫瘍/NF2においても治療選択肢の一つであります。NF2に伴う聴神経腫瘍に対するガンマナイフの長期治療成績については,Drスバクらの代表的な報告があります。NF2;40症例;45腫瘍に対しガンマナイフ治療が行われ,平均辺縁線量15グレイ,平均36カ月;3年のフォローアップにおいて,腫瘍制御率は98%,良好な顔面神経機能の温存率(ハウス&ブラックマンgrade1)が81%,有効聴力の保存率が43から62%であったと報告されています。ガンマナイフ後に手術治療を必要としたのは3症例(7%)であったとのことです。
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